万が一証券会社がつぶれても自分の資産を守るためにはどうすれば良いの?
複数の証券会社に口座を持つことでリスクヘッジになる?
こんな疑問に答えます。
結論は、ずばり「証券会社がつぶれても資産は保護されるので心配は不要。ただし心配ならリスクヘッジとして複数の証券会社に資産を分けるのはアリ」です。
「分別管理」と「投資者保護基金」によって、証券会社に預けている資産は守られています。
ですが、もし心配なら現在保有している株式や投資信託を別の証券会社に移管することで資産を分散することも可能です。
ぜひこの機会に自分の金融資産を守る方法を理解しておきましょう!
それでは詳しく解説していきます。
金融商品に関わる情報のため、最新の情報については金融庁HPや日本投資者保護基金HPをご確認下さい。
証券会社が破綻したらどうなる?
万が一証券会社がつぶれても証券会社に預けている金融資産は保護されるので、基本的に心配不要です。
なぜなら、投資家を保護する仕組みが設けられているためです。
投資家保護の仕組み
証券会社の破綻に対して投資家を保護するための仕組みとしては、次の2つがあります。
分別管理
証券会社は「顧客の資産」と「自社の資産」とを別々に管理することが法令により求められています。
これを「分別管理」といいます。(金融商品取引法43条の2参照)
分別管理:顧客が証券会社に預けたお金や有価証券を顧客専用の口座に保管し、自社の資産とは厳格に区分して管理するもの。
証券会社は、顧客資産の安全性を確保し顧客の信頼を維持するために分別管理に十分な注意を払う必要があります。
万が一証券会社が破綻しても、預けていたお金や有価証券は分別管理のおかげで円滑に返還されるようになっているんだね!
投資者保護基金
投資者保護基金制度とは、万が一証券会社が破綻し分別管理の義務に違反したことによって個人投資家が被った損失を一定の範囲内で補償する制度のこと。
この制度により、私たちが証券会社に預けていた資産の返還が円滑に行われない場合にも「日本投資者保護基金」が1人あたり上限1,000万円まで補償してくれます。
投資者保護基金制度:証券会社が破綻した場合にも、個人投資家が証券会社に預けたお金や有価証券に対して最大で1,000万円まで補償してくれる制度
ただし、一部の商品については補償の対象外となっているため詳細は日本投資者保護基金のウェブサイトなどで確認して下さい。
私たちが証券会社に預けている金融資産は、「分別管理」と「投資者保護基金」による2重のセーフティーネットで守られているのね!
さらなるリスクヘッジは必要か
とはいえ、投資者保護基金でも1,000万円までしか補償してくれないんでしょ?今はそんなに資産が無くても今後のことも考えるとちょっと不安かも…。
確かに、証券会社に預けている資産のうち1,000万円を超える部分については補償されません。
どうしても不安なら、さらなるリスクヘッジとして複数の証券会社に口座を持つのもアリです。
ここまで解説したように、証券会社が破綻しても私たちが預けた金融資産は「分別管理」と「投資者保護基金」による2重のセーフティーネットによって保護されるため心配は不要です。
それでも不安なら、さらなるリスクヘッジとして複数の証券会社に資産を分散するのが良いでしょう。
複数の証券会社に資産を分散するために
証券会社の破綻に備えて、保有している金融資産を複数の証券会社に分散したい!
それなら資産の「移管」をしましょう。
金融資産をいまの証券会社から別の証券会社に引っ越す場合、現金化してしまうと取引金額に応じた手数料や売却益に応じた税金がかかってしまいます。
「移管」は、現金化しなくても株式や投資信託などの金融資産を別の証券会社に引っ越すことができる手段です。
移管について
移管手続きは、現在保有している証券会社から有価証券を引き出し(出庫)、移管先の証券会社に送付(入庫)する手続きのことです。
この方法なら、わざわざ現金化しなくても資産を他の証券会社に引っ越すことができるんだね!
移管できるもの
移管できるものとしては、
- 国内株式
- 投資信託
- ETF
- REIT
- 米国株式
- 中国株式
- 国債
- 社債
などなど。
必要な手続き
国内上場株式と投資信託の移管手続きは、次の3ステップ。
①移管元の証券会社に
- 国内上場株式(国内株式/ETF/REIT)の場合:「口座振替依頼書」もしくは「特定口座内上場株式等移管依頼書」
- 投資信託の場合:「投資信託振替依頼書」
を請求する。
②書類に必要事項を記入し、移管元の証券会社に提出する。
③移管元の証券会社から移管先の証券会社へ株式/投資信託が移管される。
移管する際の注意点
移管の際には次の点に注意する必要があります。
①移管時に手数料がかかる
移管元の証券会社から資産を引き出すとき、「出庫手数料」がかかる場合があります。
また移管先の証券会社に資産を送付するには、「入庫手数料」がかかる場合があります。
出庫・入庫に対してそれぞれ手数料がかかるのね!
証券会社によっては「入庫手数料無料」+「移管元の出庫手数料をキャッシュバック」してくれるところもあります。この場合、実質的に無料で資産の引っ越しができます。
引っ越し先の証券会社は良く選ばなきゃいけないね。
②移管手続きには時間がかかる
証券会社によりますが、移管手続きには2~3週間程度(外国株式の場合には1か月程度)かかります。
その間は取引はできないので、余裕を持って手続きをする必要があります。
移管期間中に市場環境が変化してしまう可能性もあるため、移管手続きを行う時期についても慎重に検討する必要があります。
移管前に証券会社に手続きにかかる期間を確認しておくと良いでしょう。
③移管先の証券会社が同じ商品を取り扱っている
資産を移管する際には、移管先の証券会社でも同じ銘柄/商品を取り扱っている必要があります。
移管先候補の証券会社で同じ銘柄/商品が取り扱われていることを確認しておきましょう。
④口座区分が同じものしか引っ越しできない
国内上場株式や投資信託で利用する証券口座は「特定口座」と「一般口座」があります。
金融資産を引っ越しする場合、この口座区分が同じである必要があります。
移管元 | 移管先 | 移管可否 | 備考 |
特定口座 | 特定口座 | ○ | 移管可 取得価額が引き継がれる |
特定口座 | 一般口座 | × | 移管不可 |
一般口座 | 特定口座 | × | 移管不可 |
一般口座 | 一般口座 | ○ | 移管可 取得価額が引き継がれない |
移管先の証券会社で、移管元と同じ区分の口座を開設しておきましょう。
また一般口座の場合は移管元の情報(国内上場株式:取得単価、投資信託:個別元本や平均取得単価)が引き継がれない点も注意しましょう(特定口座間の移管の場合引き継がれる)。
保有している金融資産を別の証券会社に引っ越しするなら、上の点に注意して移管手続きを行いましょう。
まとめ
今回は、証券会社破綻に備えて自分の金融資産を守る方法に関して解説しました。
- 万が一証券会社がつぶれても、「分別管理」と「投資者保護基金」によって我々が預けている金融資産は守られる。
- 「投資者保護基金」で補償されるのは上限1,000万円。心配なら、さらなるリスクヘッジとして複数の証券会社に資産を分散させるのもアリ。
- 証券会社に預けている金融資産を別の証券会社に引っ越すには、「移管」手続きが必要。
「証券会社が破綻する」なんて不幸は考えたくありませんが、万が一そうなってしまった場合に備えてどんな対策をとるべきなのか考えてみるのも良いかもしれません。
金融商品に関わる情報のため、最新の情報については金融庁HPや日本投資者保護基金HPをご確認下さい。