駅前にきれいなマンションが建つみたいだけど、そろそろ我が家も買いどきかな!?
今の賃貸に住み続けるより、いっそのことマンションを購入しちゃった方が安いの?
こんな疑問に答えます。
結論は、ずばり「マンション購入にかかる費用を考慮すると実は賃貸の方が安いケースが多い」です。
マンションの「購入」と「賃貸」で発生する費用を比較する際に、単純に住宅ローン返済予想額と家賃を比べてはいけません!
きちんと比較するには、「購入にともなう諸経費」「購入後の維持費」「住宅ローン減税制度による控除」等を考慮する必要があります。
「FIRE最強の早期リタイア術―最速でお金から自由になれる究極メソッド」の中で「150の法則」というものが紹介されています。
これは毎月のローン返済額に150%をかけた金額が、「購入」した場合に伴う実際の費用とのこと。
この費用が家賃より高ければ「賃貸」のままの方が良く、家賃より低ければ「購入」した方が得になるという考え方です。
「150の法則」が日本でも当てはまるのかどうか、具体的に私が住んでいる近くのつくば市でマンションを「購入」した場合と「賃貸」の場合で評価してみました。
それでは詳しく解説していきます。
「購入」と「賃貸」を比較するときの注意点
月々の住宅ローン返済額をみると、今住んでいるアパートの家賃より安い!
やっぱり「賃貸」より、マンションを「購入」した方がお得なのかな?
毎月の住宅ローン返済額と家賃を単純に比較するのは間違いです!
家賃と比較する際に住宅ローン返済額だけを見ることは、購入によって将来的にかかる費用が考慮されていないため適切ではありません。
マンションを購入する場合には、購入にともなう諸経費やその後の維持費が必要になります。
単純に住宅ローン返済額と家賃を比較することは、マンション購入にかかる実際の費用を過小評価していることになります。
購入した場合にかかる費用・受けられる控除
マンションを購入する場合に考えるべき項目は次の通り。
①購入に伴う諸経費
マンションの購入に伴う諸経費には次のようなものがあります。
- 印紙税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 司法書士への報酬
- 固定資産税精算金
- 仲介手数料
- 融資事務手数料
- ローン保証料
- 物件調査手数料
- 火災保険料、など
これらの費用を総合すると、物件価格の10%弱くらい。
②購入後の維持費
購入後にかかる維持費としては次のようなものがあります。
- 固定資産税・都市計画税
- 管理費・修繕積立金
「固定資産税」は、不動産を「資産」として保有している間にかかる税金です。
一戸建てだけではなく、マンションの場合にも固定資産税はかかります。
また、固定資産税とセットで払う「都市計画税」というものもあります。
「都市計画税」は都市計画事業等の費用にあてるため、市街化区域内の土地及び家屋の所有者に対して課税されるものです。
さらに、マンションを購入するとマンションの管理に必要となる費用として「管理費」「修繕積立金」があります。
「管理費」の用途には主に次のようなものがあります。
- 管理会社への管理手数料
- 共有部の清掃代・電気代
- エレベーター/駐車場などの維持管理費用
「修繕積立金」は、将来の建物老朽化に備えて建物本体や設備を維持するために積み立てておく費用です。
③住宅ローン減税制度による控除
住宅ローン減税は、年末時点における住宅ローン残高に一定率をかけた金額が10~13年間にわたって所得税・住民税から控除できるという制度です。
住宅ローン控除はマンションを購入した際の大きなメリットであり、賃貸と比較する上でも大切な要素になります。
賃貸にも「敷金」や「礼金」がかかる
とはいえ、賃貸に住む場合にも「家賃」だけでなく「敷金」や「礼金」などの初期費用が必要になることも。
しかし、これらの初期費用はマンション購入時の諸経費に比べると金額的には少ないため比較の上で重要な要素ではないと言えます。
マンション購入と賃貸を比較する場合には、購入した場合にかかる費用をきちんと考慮することが大切です!!
マンションを購入するなら中古がオススメ
戸建てもマンションも購入していない私ですが、もし買うなら「価格が手ごろな中古マンション」を買いたいと思っています。
理由は、中古マンションには「新築プレミアム」が付いていないから。
私もですが日本人は「中古」よりも「新品」を好む傾向があり、マンションも同様に「新品」であることに価値(新築プレミアム)が見出されています。
新築でなくなったことによって下がる価値が、新築プレミアムとして実際のマンションの価値に上乗せされていると考えることができます。
新築物件の価格=新築プレミアム+新築直後の中古物件としての価格
なぜ中古マンションなのか?
中古マンションは「新築プレミアム」が付いていないため、新築マンションに比べて値段が安いことが大きなメリットになります。
資産価値も保持されやすい(※立地等の条件による)という特徴もあります。
また中古マンションはすでに建物が建っているため、実際に見て検討できるのも大切なポイントです。
注意する点としては次の通り。
管理が適切か
修繕積立金が十分に積み立てられていないなど、管理が不十分な点が無いかよく確認することが大切です。
マンション修繕の履歴や修繕積立金の状況などをチェックしましょう。
旧耐震基準ではないか
旧耐震基準のマンションは、万が一の地震の際に建物が倒壊する恐れもあります。
また住宅ローンの審査に通りづらかったり、控除を利用するために耐震基準適合証明書等の書類を用意する必要があるなど弊害が多いため注意が必要です。
必ず住宅ローン減税制度を利用する
マンションを購入するなら、住宅ローン減税による控除は必ず活用したいところ。
中古マンションにおける住宅ローン減税の控除期間は原則10年ですが、特例措置が適用されれば13年まで控除が可能となります。
環境性能に係る条件があるため、省エネ性能の高いマンションを中心に検討したいところです。
マンションを「購入」する場合に住居費を安く抑える方法としては「条件のいい中古マンションを買って住宅ローン控除を最大限活用する」のが最も良いと考えています。
例えばつくば市で比較するとどうなる??
ここで具体的な例として、私が住んでいる近くの「つくば市」でマンションを「購入」した場合と「賃貸」の場合でかかる費用を見てみました。
結果として、「購入」にかかる実際の費用(住宅ローン返済含む)は「毎月のローン返済額×1.5」程度が適正だと分かりました。
これは上で解説した通り、
- 購入に伴う諸経費
- 購入後にかかる維持費
- 住宅ローン減税制度による控除
を試算した結果です。
マンション購入にかかる費用を試算
購入にかかる費用は次の通り試算しました。
前提条件
まず、仮定した条件は次の通り。
- 借入額:3,000万円
- 返済期間:35年(ボーナス返済なし)
- 借入金利:全期間固定1.97%(2023年5月時点のフラット35適用金利参照)
- 住宅タイプ:買取再販住宅(住宅ローン控除の控除期間13年が適用可能)
- 間取り:3LDK(専有面積70㎡)
- 年収:500万円
- 保有期間:13年間(住宅ローン控除が利用できる最大期間)
ちなみに住宅情報関連のホームページによると、2023年5月時点のつくば駅周辺における中古マンションと新築マンションの相場は次の通りでした。
- 中古マンション:3,500万円(間取り:3LDK~4DK)
- 新築マンション:4,200万円(専有面積70㎡)
購入にかかる費用を試算した結果
「①購入に伴う諸経費」「②購入後にかかる維持費」「③住宅ローン減税制度による控除」を計算した結果をまとめると次の通り。
項目 | 詳細 | 金額目安 | 試算結果 | 備考 |
①住宅購入に伴う諸経費 | ー | 物件価格の10% | 3,000万円×10%=300万円@購入時 | ー |
②住宅購入後の維持費 | 固定資産税 | ・固定資産税(土地部分)=2,000万円×70%×1/6×1.4% ・固定資産税(建物部分)=1,000万円×0.5054×1.4% | ・固定資産税(土地部分):3.3万円/年 ・固定資産税(建物部分):7.1万円/年 計10.4万円/年 | ・土地部分:小規模住宅用地(200㎡以下)の税額軽減特例(×1/6)を適用 ・建物部分:経年減価補正率を0.5054(経過年数20年)と仮定 |
都市計画税 | ・都市計画税(土地部分)=2,000万円×70%×1/3×0.15% ・都市計画税(建物部分)=1,000万円×0.5054×0.15% | ・都市計画税(土地部分):0.7万円/年 ・都市計画税(建物部分):0.8万円/年 計1.5万円/年 | ・小規模住宅用地(200㎡以下)の税額軽減特例(×1/3)を適用 ・建物部分:経年減価補正率を0.5054(経過年数20年)と仮定 | |
管理費・修繕積立金 | ・管理費:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」を参照 ・修繕積立金:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を参照 | ・管理費:10,862円/月 ・修繕積立金:23,660円/月 | ・管理費:駐車場使用料等からの充当額を除くケースで計算 ・修繕積立金:専有面積70㎡・機械式駐車場除くケースで計算 | |
③住宅ローン減税制度による控除 | ー | 年末の住宅ローン残高の0.7%を控除(13年間) | 控除総額230万円 |
「購入」にかかる実際の費用①~③を合算した結果は763万円でした。
ちなみに、13年間の住宅ローン返済総額は利息含めて1,560万円(10万円/月)。
購入にかかる費用は、ローン返済総額の約半分程度にもなるということです。
そんなにかかってるの?!
「賃貸」と比較する場合、単純にローン返済額だけでなく購入にかかる費用も考慮しないと正しい判断ができないってことね。
今回想定したケースでは、ローン返済額を含めた総費用は「毎月のローン返済額×1.5」と考えることができます。
つくば市の家賃相場は?
住宅情報関連のホームページによると、2023年5月時点のつくば駅周辺の家賃相場(3LDK)は11.75万円とのこと。
月々の住宅ローン返済額と家賃を比べると、家賃の方がやや高いくらいだね。
そのまま比較すれば、「同じ金額なら買っちゃった方が良いね」となるところ。
しかし「購入」したケースにおける本当の費用が15万円/月となれば、賃貸の方が実はお得になるケースが多そうです。
もし今住んでいる賃貸の家賃が(相場よりもかなり高い水準である)15万円以上であれば、「購入」したほうがお得になります。
つくば市でマンションを「購入」した場合の費用を計算した結果、「賃貸」の方がお得になるケースが多いということが分かりました。
まとめ
今回はつくば市のマンションを例にして「購入」と「賃貸」の比較をしてみました。
- 「購入」と「賃貸」を比較する場合には、住宅ローン返済額と家賃をそのまま比較してはいけない。
- 「購入」なら、条件のいい中古マンションを買って住宅ローン控除を最大限活用するのが良い。
- つくば市のマンション相場から「購入」と「賃貸」を比較したところ、「賃貸」がお得になるケースが多かった。
これから家を購入する方は、事前に「購入」にかかる実際の費用を計算してみることをオススメします。
そろそろマンションを買うべきか?そんなことを考える上で本記事が参考になれば幸いです。