老後の生活費っていくらかかるの?持ち家がないからその分の家賃も必要だよね?
持ち家がなくても安心して暮らせるだけの老後資金っていくらぐらい?
こんな疑問に答えます。
結論は、ずばり「持ち家無し夫婦2人の老後における生活支出はざっくり1.2億円」です。
定年後30年ほど生きていくことを考えると、月々の生活費だけでも相当な金額になります。
総務省の「家計調査報告」や生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」から日本人の平均的な生活費の目安を試算してみました。
老後生活費の目安金額を参考にして、自分自身の老後資産形成に役立てましょう!
それでは詳しく解説していきます。
老後30年の生活支出はざっくり1.2億円(持ち家無し)
定年退職した後に夫婦2人でいくらぐらい生活資金が必要になるの?
定年後30年生きるとすれば、9,000万円以上のお金が必要になる計算です。
これは、国の統計データから老後における生活支出の平均値に基づいて算出したものです。
老後の生活費(消費支出)はだいたい23万円
総務省の2021年「家計調査年報(家計収支編)」によると、65歳以上夫婦(無職世帯)の家計収支は次の通り。
税金や社会保険料を除く「消費支出」としては、合計で224,436円かかっています。
また税金や社会保険料などの「非消費支出」(30,664円)も含めると、1か月の支出は255,100円です。
仮に定年後も30年生きるなら、9,000万円以上のお金が必要になる計算です。
定年後30年生きるなら、生活支出は9,000万円以上になる。
老後消費支出の内訳をよく見ると、「住居」関連費用が少ないことが分かります。
調査対象者のほとんどは持ち家を購入(持ち家比率:91.6%)しており、住宅ローンが完済している方だと思われます。
したがって、
- 持ち家がなく賃貸住まい
- 住宅ローンの支払いが定年時点で終わっていない
といった場合は、さらに上乗せして考える必要があります。
例えば、家賃7万円(管理費・共益費・更新費込々)の賃貸に定年後30年住むなら2,520万円(=7万×12か月×30年)かかります。
持ち家がなく賃貸住まいの場合は、2,500万円以上のお金がさらに必要になるってこと!?
つまり、持ち家無し世帯における定年後30年間の生活支出としては1.2億円(9,200万円+2,520万円=11,720万円)くらいかかる計算になります。
持ち家がない場合、老後資金計画には家賃分も考慮する必要がある。
老後の生活を自分で考えてみる
とはいえ、上で紹介した生活支出は「日本人の平均値」。
あくまでも目安でしかありません。
当然、住む環境や年齢によっても変わってきます。
世帯主の年齢階級があがるほど支出額が減っていることは、総務省の家計調査報告の中でも数字として示されています。
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(令和4年度)によると、最低限必要な生活費は月額23.2万円とのこと。
さらに同調査によると、趣味や旅行など「ゆとりある生活」には平均で月々14.8万円の上乗せが必要だと回答されているようです。
必要最低限の生活費と併せると月々38万円(=23.2万+14.8万)必要ってこと?!
しかし、これはあくまでも「あったらいいな」の平均値であって「必ず必要なお金」ではありません。
老後の生活をどのように送りたいかで上乗せ額も変わってきます。
- 旅行をたくさんしたい
- 孫にいろんなものを買ってあげたい
- 老後は質素に暮らしたい、など
老後の生活を想像して、生活費がいくらぐらいあれば満足できそうか考えることが大切です。
私の場合は、最低限の生活費に加えてプラス10万円くらいあれば安心して老後の生活を送れそうです。
持ち家がない場合の老後生活支出はざっくり1.2億円程度が目安!これをベースに自分自身の老後生活費を考えてみましょう。
現役世帯との差は?
老後の生活費って、今の生活費と比べると結構少ないけどほんとにこれだけで足りるのかな?
老後にかかる生活費は現役世帯のだいたい7割程度と覚えておけばOKです。
これは、国の統計データから現役世代における生活支出の平均値と比較したものです。
現役世帯の生活費(消費支出)はだいたい31万円
65歳以上夫婦の家計収支と比べて、現役世帯はどうでしょうか?
総務省の家計調査報告によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯(平均世帯人員3.28人、平均有業人員1.78人、世帯主の平均年齢50.1歳)の家計収支は次のグラフの通り。
現役世帯の消費支出合計は309,469円なので、老後の消費支出は現役世帯と比べると7割程度だと分かります。
また税金や社会保険料などの「非消費支出」(112,634円)も含めると、1か月の支出は422,103円でした。
老後生活費は現役世帯のだいたい7割程度になっている。
現役世帯で支出金額が多い品目は?
「現役世帯」と「老後世帯」は世帯人数が異なるので単純比較はできませんが、暮らしの変化によって生活費も変わっているように見えます。
現役世帯と比べて大きく金額が減っているのは
- 被服及び履物
- 交通・通信
- 教育
といったところ。
「被服及び履物」関連費用に関しては、老後は新しい洋服を買うよりも今までの服や靴を使い続ける傾向がありそうです。
「交通・通信」関連費用に関しては、老後は自動車を使う頻度が少なるものと考えられます。
「教育」関連費用は、高校や大学の授業料が該当するものなので子供の教育が終われば必然的にゼロになります。
反対に、老後で多くなるのは「保険医療」関連費用です。
年齢とともに保険医療サービスに関わることが多くなるのね。この部分は今よりも多めに見積もっておいた方が良さそう…。
自分自身の老後生活費を考える上では、今の生活費から7割くらいを目安に考えてみると良いでしょう。
まとめ
今回は、老後にかかる生活費について解説しました。
- 定年後30年生きるなら、老後の生活支出は9,000万円以上になる。
- 持ち家がない場合、老後資金計画には家賃分も考慮する必要がある。
- 老後生活費は今の生活費から7割くらいを目安に考えておけば良い。
今回紹介したのはあくまでも日本人の平均値。
自分自身の老後における生活を想像してみて、いくらぐらい生活費があれば満足できそうか考えることが大切です。
老後の資金計画を立てる上で、今回の記事が参考になれば幸いです。