早期退職すると安定した収入がなくなるから支出が心配だ…。
早期退職後も支払わなければならない税金にはどんなものがあるの?
こんな疑問に答えます。
結論は、ずばり「早期退職後も支払わなければならない税金は意外と多い」です。
早期退職した時の「退職金」と早期退職の「その後」について、どんな税金があるのか事前にきちんと把握しておくことが大切です!
税金も考慮したうえで、早期退職のプランを立てましょう!
それでは詳しく解説していきます。
退職金にかかる税金
早期退職した時に受け取る「退職金」。
退職金にも税金はかかりますが、全額が課税対象となるわけではありません。
なぜなら、勤続年数に応じた「控除」があるからです。
勤続20年までは1年あたり40万円ずつ、それ以降は70万円ずつ控除額が増える仕組みです。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万×勤続年数 |
20年超 | 800万+70万×(勤続年数-20年) |
勤続年数が長いほど税金の負担が軽くなるのね。
退職金にかかる税金の計算方法
次の例で退職金にかかる税金を計算してみます。
- 勤続年数:26年
- 退職金:2,500万円
この場合、控除額と退職所得(課税対象となる金額)は次の通りです。
- 退職所得控除額:800万+70万×(26-20)=1,220万円
- 退職所得:(2,500万–1,220万)÷2=640万円
所得税・復興特別所得税
所得税の税率は、課税対象となる退職所得の金額に応じて変わってきます。
課税退職所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000~1,949,999円 | 5% | 0円 |
1,950,000~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000~6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
今回の例では退職所得は640万円なので、税率は20%と分かります。
所得税:640万×20%-427,500=852,500円
復興特別所得税(税率2.1%)と併せると税額は以下の通りです。
所得税+復興特別所得税:852,500+(852,500×2.1%)=870,402円
住民税
退職所得に対する住民税の税率は10%です。
- 市町村民税:6%
- 道府県民税:4%
住民税:640万×10%=64万円
退職金にかかる税金は合計で1,510,402円(=870,402+640,000)となりました。
つまり、実際に受け取れる退職金額は2,349万程度となります。
退職金をいくら受け取れるのか、きちんと把握しておくことが大切です。
早期退職後も支払わなければならない税金
退職金に税金がかかるのは分かったけど、早期退職後にかかる税金にはどんなものがあるの?
早期退職で無くなるのは、「給与所得」による所得税のみです。
退職すれば給与所得はゼロになるので、とうぜん税金も無くなります。
それ以外は、(金額は変わりますが)早期退職後も引き続き払い続けることになります。
払わなくていいもの・払わなければいけないもの
早期退職後、税金は次のようになります。
早期退職後は払わなくていい | 早期退職後も払わなくてはいけない | 備考 | |
(給与所得に応じた)所得税 | 〇 | 例えば、年収500万円の会社員なら所得税は月1万円程度 | |
住民税 | 〇 | 所得に応じて課税される部分(所得割)は無くなる 所得の大小にかかわらず課税される部分(均等割)は残る | |
固定資産税 | 〇(持ち家がある場合) | 市街化区域内なら都市計画税も | |
自動車税 | 〇(マイカーがある場合) |
特に、退職した翌年の住民税には要注意です!
住民税は前年の収入にもとづいて計算されています。
退職するまでは収入があるので問題無いですが、早期退職した翌年は収入がゼロにもかかわらず住民税の負担は在職時と変わらないことになります。
また、
資産運用によってNISA口座またはiDeCo口座以外で運用益がある場合や65歳になり年金が入る場合は、収入額に応じて所得税+復興特別所得税+住民税がかかります。
NISA口座またはiDeCo口座以外の運用益に対しては、20.315%の税金がかかります。
給与所得に応じた税金は無くなるけど、それ以外は払い続けるってことね。
まとめ
今回は早期退職後にかかる税金について解説しました。
- 退職金は全額が課税対象となるわけではない。実際にいくら受け取れるのかきちんと把握しておくことが大切。
- 早期退職後に払わなくなる税金は給与所得による所得税のみ。それ以外は、金額は変わるものの払い続けることになる。
早期退職後の家計をより強固で盤石なものにするためにも、退職金にかかる税金と退職後も払わなければならない税金をしっかりと考慮しておきましょう。