自宅で淹れるコーヒーを好みの味にコントロールするコツを教えて欲しい!
粉のメッシュ(粗さ)と豆の焙煎度はコーヒーの味にどう影響する?
こんな疑問に答えます。
結論は、ずばり「ドリップ抽出なら挽き方は”中挽き”+焙煎度は酸味が好きなら”浅煎り”/苦みやコクが好きなら”深煎り”がオススメ」です。
粉のメッシュは、抽出過程でコーヒーの成分がお湯に溶け出す際の溶け出し方や抽出速度に影響します。
豆の焙煎度については浅いほうが酸味が強く、焙煎が進行すると徐々に苦みが強くなります。
今回はカフェ・バッハの田口護さん・山田康一さんによる「コーヒー抽出の法則」と石脇智広さんの「コーヒー「こつ」の科学」を参考にしながら解説します。
焙煎度とメッシュの大きさによる影響を理解して、自宅で自分好みのコーヒーを淹れてみましょう!
それでは詳しく解説していきます。
粉のメッシュによる味の違い
粉のメッシュ(粗さ)によってコーヒーの味は変わります。
これは、メッシュの大きさによって粉の表面積が変わるためです。
メッシュが細かければ細かいほど粉の表面積は増えるため、抽出過程においてよりコーヒーの成分がお湯に溶け出しやすくなります。
メッシュの目安
メッシュについては、全日本コーヒー公正取引協議会が出している砂糖との比較が1つの目安になります。
- 粗挽き:ザラメ以上
- 中挽き:グラニュー糖以上
- 中細挽き:中挽きと細挽きの中間
- 細挽き:グラニュー糖と白砂糖の中間
- 極細挽き:細挽き以下の粗さ
引用元:全日本コーヒー公正取引協議会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」
コーヒー抽出のメカニズム
粉のメッシュによる味の違いを解説する前に、コーヒーの抽出原理について簡単に触れておきます。
コーヒーの抽出(エスプレッソ以外)は、「粉に含まれているコーヒーの成分がお湯に溶け出す」ことで生じています。
コーヒーの「抽出」とは、粉の中のコーヒー成分がお湯に溶け出すこと。
コーヒーの抽出は次のように進みます。
- 抽出の初期には粉の表面とお湯の間で成分の移動が生じる。
- さらに抽出が進むと、こんどは粉の中心部から粉の表面にゆっくりとコーヒーの成分が移動してくる。
粉からお湯にコーヒーの成分が移動していくことでコーヒーが抽出されています。
メッシュの大きさによってコーヒーの味が変わる
メッシュの大きさによってコーヒーの味って変わるの?
はい。メッシュの大きさによって粉の表面積が変わることで、コーヒーの味が変化します。
メッシュが粗い場合
粉の表面積が小さくなり、コーヒーの抽出過程で粉の成分がお湯に溶け出しにくくなります。
ドリップ抽出(ペーパードリップ、ネルドリップなど)の場合、粉と粉の間をお湯が早く通り抜けるため抽出時間が短くなる傾向があります。
メッシュ | 濃度 | 味の特徴 |
粗い | 薄くなる傾向がある | 酸味を多く感じる |
メッシュが細かい場合
粉の表面積が大きくなり、コーヒーの抽出過程で粉の成分がお湯に溶け出しやすくなります。
ドリップ抽出の場合、粉と粉の間をお湯が通るのに時間がかかることで抽出時間も長くなる傾向があります。
メッシュ | 濃度 | 味 |
細かい | 濃くなる傾向がある | 苦みを多く感じる |
抽出方法に合ったメッシュを選ぶ
上で解説したように、メッシュの粗さによって抽出時間にも影響します。
ドリップ抽出の場合、メッシュが細かすぎると粉が目詰まりを起こして抽出時間が長くなり過ぎてしまうことが懸念されます。
また反対に、メッシュが粗すぎると粉の成分が十分にお湯に溶け出すより前に早く抽出が終わってしまうことも…。
抽出方法によって最適なメッシュを選ぶことが大切。
ドリップやサイフォンの場合は、中挽きが最適なメッシュです。
好みに応じて、中挽きをベースに少し粗目に挽いたり細かく挽いたり調整して味の変化を楽しむのも良いですよ!
ドリップの場合、メッシュは「中挽き」が最適。
粉のメッシュによってコーヒーの味は変わります。
抽出方法に合わせて最適なメッシュを選ぶようにしましょう。
豆の焙煎度による味の違い
焙煎度によってコーヒーの酸味・苦みに変化が生じます。
焙煎度が深くなるほどコーヒー豆は”炭”に近づきます。
炭に近づけば味としては苦みが強くなるのは感覚的にも理解しやすいですが、それと同時に酸味は消えていきます。
焙煎度の分け方
「豆の焙煎度」はお店でコーヒー豆を買ったり、コーヒーを飲む際にも見ることがあります。
焙煎度は様々な分け方があるようですが、大体は次の通り。
焙煎度 | 焙煎を止めるタイミング |
浅煎り(ライトロースト) | 1ハゼの手前 |
浅煎り(シナモンロースト) | 1ハゼの中間 |
中煎り(ミディアムロースト) | 1ハゼが終わったところ |
中煎り(ハイロースト) | 豆のしわが伸びて香りが変化する手前 |
中深煎り(シティロースト) | 2ハゼまで |
中深煎り(フルシティロースト) | 2ハゼが終わるころ |
深煎り(フレンチロースト) | 黒味に茶色が残る段階 |
深煎り(イタリアンロースト) | 茶色が消えて黒くなる段階 |
焙煎度による味の変化
大きな変化として、酸味は豆の焙煎度が浅い時に強く中煎りをピークに弱くなります。
また苦みは、中煎りから深煎りまで右肩上がりで増えていきます。
- 焙煎度が浅い場合:酸味が強い・苦みが弱い
- 焙煎度が深い場合:酸味が弱い・苦みが強い
焙煎度が深くなればなるほど炭に近づくため、苦みが強くなっていくのは感覚的にも分かる変化です。
豆の特徴が最大限活きる焙煎度になっているか
焙煎度によって味が変わるため、もともとの豆が持っている特徴をうまく引き出す焙煎度を選ぶことがとても大切です。
豆に適した焙煎度を選ぶことで豆の味を最大限引き出すことが可能になります。
豆のタイプとおすすめの焙煎度はおおよそ次の通り。
- 低産地~中高産地(肉薄の豆)⇒浅煎り~中深煎り
- 中高産地~高産地のもの(肉厚の豆)⇒中深煎り~深煎り
自分で焙煎する場合は、ある程度当たりをつけてから徐々に自分好みの焙煎度を探ってみるのも楽しいかもしれません。
「コーヒー抽出の法則」には、豆のタイプとそれに適した焙煎度についてより詳しく書かれているので興味がある人はぜひ読んでみて下さい。
ということで、豆の焙煎度によってコーヒーの味は変化します。
酸味が好きなら浅煎り、苦みが好きなら深煎りを選ぶようにしましょう。
コーヒーの味を決める6つの要素
自宅でも自分好みのコーヒーを淹れることが可能です。
そのためには、「コーヒーの味を決める要素」を理解してコントロールする必要があります。
コーヒーの味を決める要素
「コーヒー抽出の法則」によると、生豆を買ってきてコーヒーとして飲むまでの過程においてコーヒーの味を決める要素は次の6つあります。
- 焙煎度
- 粉のメッシュ
- 粉の分量
- 湯の温度
- 抽出時間
- 抽出量
焙煎した豆を買ってきた場合は①以外、挽いた豆を買ってきた場合は①と②以外の要素をコントロールすることになります。
好みに応じて粉のメッシュと豆の焙煎度を選ぶ
いきなり①~⑥すべての要素を同時にコントロールしようとするのは避けた方がいいかもしれません。
いきなり①~⑥全ての要素を変えてしまうと収拾がつかなくなってしまいます。
そこでおすすめなのが、「①焙煎度」と「②粉のメッシュ」を自分好みに変えてみることです。
③~⑥の要素を普段と同じに固定すれば、自分好みの味を探しやすくなります。
上で解説した「粉のメッシュによる味の違い」と「豆の焙煎度による味の違い」を参考に自分好みの味を探してみて下さい!
自分好みの味を見つけるには、豆の焙煎度と粉のメッシュを変えてみるのが近道。
コーヒーの味を決める要素を理解して、自分好みのコーヒーを探してみて下さい。
まとめ
今回は、粉のメッシュと豆の焙煎度によるコーヒーの味の違いについて解説しました。
- メッシュの大きさによって粉の表面積が変わることで、コーヒーの味が変化する。ドリップの場合、メッシュは「中挽き」が最適。
- 豆の焙煎度によってコーヒーの酸味・苦みに変化が生じる。おおよそ低産地~中高産地で作られた肉薄の豆は浅煎り~中深煎り、おおよそ中高産地~高産地で作られた肉厚の豆は中深煎り~深煎りが適している。
- 「コーヒーの味を決める要素」を理解すれば自分好みのコーヒーを淹れることができる。
コーヒーの味を決める要素は6つありますが、まずは「焙煎度」と「メッシュ」を変えて自分好みの味を探してみるのがオススメです。
自宅で飲むコーヒーライフがより楽しいものになれば幸いです。